ニキビについて
ニキビで診察ご希望の方はメイクを落としていただきます。クレンジング、化粧水、乳液、日焼け止めはご用意しておりますが、メイク用化粧品はございませんのでご了承ください。
ニキビとは毛穴の炎症です。毛穴の中には皮脂の分泌をする皮脂腺があり、ここにトラブルが起きてニキビとなります。
ニキビは段階的に進行し変化していきます。それぞれの段階に合わせた治療が必要になってきます。
「白ニキビ」 毛穴が詰まって皮脂が詰まり膨らんだもの。
「黒ニキビ」 毛穴が広がり、酸化された皮脂が黒く見えるもの。
「赤ニキビ」 ニキビ菌が増殖し炎症が生じたもの。
「白く生んだニキビ」 毛穴に膿がたまったもの。
・ニキビの発生には3つの機序が関連しています。
1.皮脂分泌増加
2.毛穴のつまり
3.アクネ菌の増殖
皮膚の表面には角質があります。角質は約1か月で古いものから新しいものに入れ替わりますが、このバランスが乱れると、角質が毛穴の出口をふさいで、毛穴のつまりの原因になります。
そのため、角質を薬剤で剥がすことが、基本の治療になります。(保険適応)
毛穴が詰まると、アクネ菌が増殖し炎症を起こします。この場合、抗生剤(飲み薬や軟膏)も合わせて用います。(保険適応)
皮脂分泌が多い場合も、毛穴のつまりの原因になります。ホルモンのバランスが崩れて男性ホルモンが過剰になると皮脂分泌が増えます。女性の場合、ピルがニキビに効果的な場合があります(保険適応外)
ご自分で改善が可能な原因には、スナック菓子や脂肪分の多い食事のとりすぎ、喫煙、紫外線(日焼け)、不適切なスキンケアなどがあります。 また可能な限り避けた方が良いものは、ストレス、睡眠不足、便秘などです。 ご自分で調整が難しいものには、ホルモンバランスの変化があります。
日焼け止めは必ず行いましょう。ニキビの栄養素となる成分が含まれていない、ノンコメドジェニックテスト済みの日焼け止めを使いましょう。
洗顔は刺激の少ないものをよく泡立てて強くこすらないようにして行いましょう。 保湿は余分な皮脂の分泌を抑えるために大切です。やはり、ノンコメドジェニックテスト済みのものを使用しましょう。
治療中も上記スキンケアは基本としたうえで、ニキビの段階や原因などに合わせて薬を選択します。
角質の増加を抑える治療
- アダパレンゲル(ディフィリン):白ニキビ・黒ニキビで用います。
- 過酸化ベンゾイルゲル(ベピオ):いずれのニキビでも使用します。過酸化ベンゾイル(BPO)には殺菌効果とピーリング効果があります。
- 過酸化ベンゾイルゲル+クリンダマイシンゲル(デュアック):過酸化ベンゾイルと抗生剤が一緒になったものです。赤ニキビなど炎症を起こしているものに使います。
- アダパレン+塩化ベンゾイルゲル(エピデュオ):皮膚の刺激が強いため、炎症が強く難治性のニキビに使うことが多いです。
- アゼライン酸クリーム(保険外):アゼライン酸は穀物に含まれる成分で、角質を剥離する効果があります。他の外用薬が刺激が強く使えない方などに適応されます。また、ニキビが改善した後に、再発予防に使う場合もあります。(1本1980円(税込))
- ケミカルピーリング(保険外)
アクネ菌の増殖を抑える治療
- 抗生剤内服: ミノマイシン、ビブラマイシン、ロキシスロマイシンなど
- 抗生剤外用薬:クリンダマイシン、ナジフロキサシン、オゼノキサシンなど
- 過酸化ベンゾイル
皮脂分泌を抑えるホルモン治療
- ピル(保険外):女性ホルモンバランスを整え、男性ホルモン優位で起きる皮脂分泌の増加を抑えます。当院は婦人科も行っているため、ピル関連の副作用・副効果についても説明し対応いたします。 →ピルについて
- スピロノラクトン(保険外):男性ホルモンを抑える薬です。利尿作用があるため、内服中は水分をたくさんとる必要があります。
ビタミン剤
- ニキビ治療の補助薬としてビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE、ビタミンAなどを処方することがあります。
漢方薬
- 十味敗毒湯:アクネ菌の抗菌効果に加え皮脂の抑制効果があります。
- 荊芥連翹湯:アクネ菌の抗菌効果や炎症を鎮める効果があります。
- 清上防風湯:アクネ菌の抗菌効果や炎症を鎮める効果があります。
- 桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遙散:月経に関連して増悪するニキビに効果があります。
- 桂枝茯苓丸加薏苡仁:月経関連ニキビで炎症の強いものに使用します。
面皰圧出術
- 黒ニキビの時に皮脂を圧出することがあります。炎症があるときにつぶすと悪化したり、ニキビ跡になったりするのでご自分で処置するのはやめた方がよいでしょう。
ニキビの跡がシミ(炎症性色素沈着)になることがあります。 炎症性色素沈着は、適切なスキンケア(保湿・日焼け止め)を続けていると自然に軽快してきます。シミ治療として、ビタミンC美容液やハイドロキノンなどを合わせて行うと効果的です。 →肝斑・シミについて
ニキビの跡の皮膚が盛り上がってしまったり、くぼんでしまったりすることがあります(肥厚性瘢痕・陥凹性瘢痕)。 瘢痕はなかなか治療が難しいですが、ピーリングやフラクショナルレーザー(当院では施行なし)やトレチノイン+ハイドロキノン療法などを行います。肥厚性瘢痕にはステロイド注射を使うこともあります。