卵巣の病気
内科・外科 婦人科卵巣は子宮の左右に1つずつあり、大きさ2-3cmの球形をしています。卵巣が腫れることを卵巣腫瘍と言い、女性の5~7%に発生すると言われています。
卵巣腫瘍にはたくさんの種類があります。
卵巣は、卵子細胞が月経のたびに成熟、排卵、変性を繰り返し、さらに女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)を分泌するという常に複雑に変化している場所になります。
その機能を維持するために様々な成分の細胞が含まれているため、多様な腫瘍が発生します。そして、その腫瘍細胞の異型の程度により良性、悪性、その中間の境界悪性に分類されます。また、他の部位の腫瘍細胞が卵巣に転移して大きくなることもあります。
卵巣腫瘍はほとんど症状がなく、10cm以上くらいになるとおなかにしこりを触れてきます。また、5cmを超えると、卵巣腫瘍がねじれたりして、茎捻転を起こし急激な腹痛や吐き気を起こすことがあり、それで初めて気が付くこともあります。検診の経腟エコーなどで偶然見つかることも多いです。
卵巣腫瘍が疑われた場合、MRIなどで検査をします。腫瘍細胞そのものを簡単にとることはできません。そのため診断をするために、手術で卵巣全体やその腫瘍部分を切除することがあります。その結果、経過観察をすることもあれば、さらに追加で治療を行うこともあります。
ここでは比較的多くみられる卵巣腫瘍の種類について解説します。
漿液性嚢胞腺腫
卵巣の中に嚢胞と呼ばれる袋ができ、その中に漿液と言われる薄黄色透明の液体が溜まるものです。基本的にがん化することはありません。
成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫)
生殖細胞が中途半端に増殖してできた腫瘍です。腫瘍の中に黄色の脂肪や毛髪が含まれることがあります。20~30歳代に多く良性です。ただ、35歳以上ではごくまれにがん化することがあると言われていますので注意が必要です。
粘液性嚢胞腺腫
卵巣の嚢胞にゼリー状の粘液物質が溜まるものです。基本的には良性ですが、画像検査だけでは悪性と区別することが難しいことがあります。
チョコレート嚢胞(子宮内膜症性嚢胞)
卵巣に古い血液が溜まった嚢胞性の腫瘍です。子宮内膜症と関連してできます。基本的には子宮内膜症と同様に治療をします。卵巣がんと関連することも知られていて、大きさ10cm以上や40歳以上であれば、手術が勧められます。
卵巣癌
卵巣癌は卵巣の悪性腫瘍です。卵巣腫瘍全体の15%程度です。悪性とは卵巣を超えて広がってくる(転移する)可能性があるものをいいますが、卵巣腫瘍は自覚症状がなくわかりにくいので、広がってから見つかることも多いです。(がんの広がりの分類を進行度といいます。)年間10000人ほどがかかり、毎年4800人ほどが亡くなると言われています。
卵巣癌の10%ほどが遺伝性であることがわかっています。遺伝性乳癌卵巣癌症候群と言われ、BRCA1/2遺伝子の変異が原因です。その他リスクが高まるものとして、出産歴がない、高齢出産、閉経の遅れなどが挙げられています。
発生年齢は50歳~60歳前半にもっとも多いですが、卵巣癌の種類には様々あり、胚細胞腫瘍のように10~20歳代と若年者に多いものもあります。
最も多いものは上皮性腫瘍で約60-70%を占めますが、上皮性はさらに、漿液性、粘液性、類内膜、明細胞と4つに分類されます。それぞれ性質が異なり、例えば、明細胞腫瘍は子宮内膜症と関連があると言われており、ピルによる排卵調整でリスクが低下すると言われています。
治療は基本的に手術と抗がん剤ですが、進行度、タイプなどによって異なってきますので、個別に対応することになります。
六本木ブレストレディースクリニック
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