乳腺の検査について

よく「マンモグラフィとエコーはどちらがいいんですか」と質問されます。
マンモグラフィと乳腺超音波(エコー)検査についてご説明したいと思います。

マンモグラフィ

 乳房を専用の圧迫板で挟み、軟X線で撮影することによって、乳房内の病気を発見するものです。
「痛い検査」のレッテルを貼られてしまったマンモグラフィですが、乳房を挟む圧迫板やその動作・速度も改良され、以前よりはだいぶ軽減されています(ゼロではありません)。生理の終了時期から1~2週間が比較的痛みが少なく撮りやすいとされています。
 被ばく量は平均2.0mGyと言われており、これは東京-ニューヨーク間を飛行機で往復した時の被ばく量と同等です。当院に導入している「富士フィルムAMULET Innovality」はこれよりもさらに少ないと言われています。
 マンモグラフィ検診は受診することで「乳癌の死亡率を低下させる効果がある」と最初に証明された検査です。なので市区町村の検診をはじめ、広く導入されています。特にしこりではなく石灰化で発見されるタイプの乳癌を早期に見つけるのに有効とされています。
 マンモグラフィのみでは病変を判断するのに困難なタイプの乳腺があることがわかっています。高濃度乳腺といって、乳腺が真っ白に写り、しこりが隠れてしまうような方です。乳腺は年齢によっても変化し、特にお若い方は高濃度であることが多いです。マンモグラフィは基本的には40歳以上が推奨されております。
 マンモグラフィはその撮影技術や読影診断に専門的な知識が必要です。「日本乳がん検診精度管理中央機構」というNPO法人が精度管理、認定業務を行っております。当院はその認定を受けた、診療放射線技師(女性)が撮影を、医師が読影を行っております。

▶乳腺超音波(エコー)検査

 検査部位にゼリーを塗ってプローベを密着させて乳房内を観察するものです。
 痛みは全くありません。被ばくもないので妊娠中の方も受けることができます。
 超音波は特に小さな「しこり」を見つけるのに優れています。2015年にマンモグラフィ単独の検診より早期乳がんの発見率が1.5倍になったという報告がありました。
 また、病変が見えた場合、その場で血流や硬さの検査を追加で行うことができるのも利点です。
 欠点としては、石灰化が見えにくいということが挙げられます。こちらはマンモグラフィが得意なので、併せて行うことでカバーできます。
 さらに検査を行う機器や技師により差が大きいという欠点が挙げられます。そのため、病変が見えづらかったり見落としたりする可能性があります。また、乳腺そのものも周期的に変化しますし、個人差も非常に大きいため、逆に良性の変化が異常と判断されてしまうこともあります。その判定は困難なことも多く、現在も「日本乳がん検診精度管理中央機構」を中心に診断の精度をあげる取り組みがなされています。当院では乳腺専門医かつ超音波専門医の医師が超音波を施行し判定を行っています。

以上のようにマンモグラフィと超音波どちらが優れているというようなものではなく、それぞれ補うような利点欠点があります。概ね40歳未満は超音波、40歳以上はマンモグラフィという考え方でよいと思います。当院ではより正確な結果を出すために、可能ならば両方を受けていただくことを推奨します。
 

▶総合判定について

 ここまでご覧になってくださった皆さんの中で、マンモグラフィ検診と超音波検診を両方受けて、それぞれ違う結果が書いてあり困惑した方はいませんか?多くの検診施設ではそれぞれ独立した検査として行っています。マンモグラフィと超音波の結果を併せて最終判定することを総合判定といいます。実際に総合判定を行うのは撮影・読影環境が整っていないと難しく、まだ実施されていない検診施設も多いです。当院では、マンモグラフィ・超音波検査を併せて行った方には必ず総合判定を行っています。

早期の乳がんの診断は今の技術でも難しいことが多く、専門的な知識と経験を要します。ぜひ専門クリニックで受けられることをお勧めします。乳がんは毎年のように、診断・治療法ともに進化しています。残念ながら、まだ完ぺきな検診方法はありませんが、たくさんの方が乳がん検診を受けてくださることでさらに知見が深まり、検診の精度も上がるのではないかと考えています。