健康診断結果の見方について
当院で行う、主な検査の一般的な説明になります。記載のない項目もあります。ご不明な点はお問い合わせください。
腹囲 ~メタボリック症候群(シンドローム)~
日本人女性は腹囲が90cmを超えて、なおかつ、血圧、血糖、脂質のうち2つに異常がある場合メタボリック症候群、1つのみ異常の場合はメタボリック症候群予備群と診断されます。
判定基準
血圧:収縮期(最大)血圧 130mmHg以上 または 拡張期(最小)血圧 85mmHg以上
血糖:空腹時血糖 110mg/dl以上(HbA1c 6.0%以上)
脂質:中性脂肪 150mg/dl以上 または HDLコレステロール 40mg/dl未満
メタボリック症候群の方は、心臓病や脳卒中になりやすいことがわかっています。食生活や運動・生活習慣を見直して病気の予防に努めることが、健康維持のために大切とされています。
視力
ものが見えにくい、左右のバランスが悪いなどの症状がないかを見る検査です。
聴力
1000Hz(低周波数)と4000Hz(高周波数)の音を左右別に聞こえているか確認する検査です。
体成分分析(Inbody770)
体内の筋肉量・脂肪量とその割合がわかります。筋肉は代謝を上げ脂肪を燃焼させるため、筋肉量が多い方は筋力アップを、脂肪が多い方が、脂肪を燃焼させるような有酸素運動を行うことが勧められます。当院のInbody770では、部位別の筋肉量も出るため、体幹・上肢・下肢の重点的に鍛えたほうがよい部位などもわかります。
尿検査
腎臓に機能異常があると尿たんぱくが出ることがあります。また腎臓や膀胱に炎症や結石、腫瘍があると尿にタンパクや血液が出ることがあります。腎不全や透析になるリスクの発見につながります。
心電図
不整脈や、狭心症、心筋梗塞など心臓の病気の手がかりになります。安静時短時間の検査ですので、簡便ですが、病気がうまくとらえられないこともあります。息切れや動機などの症状がある場合は内科を受診しましょう。
胸部X線
結核、肺炎、肺結節、肺がん、気胸、胸水、心肥大、大動脈瘤、縦郭腫瘍、肋骨骨折、側弯症などがわかることがあります。X線のため、妊娠している方は撮影できません。
超音波検査(エコー)
プローブという音波が出る機器を、直接皮膚に当てて、体表から臓器を観察する検査です。
部位別
腹部:肝臓や胆嚢、腎臓、脾、膵臓、大動脈、膀胱・子宮などに病気がないか観察します。
甲状腺:甲状腺に腫れや結節(しこり)がないかなどを観察します。甲状腺ホルモン異常はエコーだけではわかりませんので、別に採血する必要があります。
頸動脈:頸動脈の血管壁が厚くなっていないか、プラークと呼ばれる付着がないか、血管が狭くなっていないかなどを観察します。脳卒中のリスクなどの予測につながります。
胃がんリスク検診
血液中のピロリ菌抗体とペプシノーゲンを測定し、胃がんになるリスクを予測する検査です。異常がない方も5年に1度は胃カメラやバリウム検査などを受けることが勧められます。ピロリ菌が陽性の場合は除菌治療を受けることをお勧めします。胃痛や胃の症状がある場合も内科を受診して検査をうけましょう。
便潜血検査
消化管の中に出血するような病気がないかどうか確認する検査です。食道炎、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がん、大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室、大腸炎、痔などがあります。陽性だった場合は必ず受診して、胃・大腸カメラ等の検査をご相談してください。
骨密度
X線で骨の量を測り、骨がもろくなっていないかどうか調べる検査です。当院では腰椎と大腿骨で測定しています。若い人の骨を100%として自分の骨と比較した時に、80%未満を骨塩量低下、さらに70%未満を骨粗鬆症と診断します。特に女性は閉経後に骨密度が大きく低下します。若いうちに骨をしっかり作っておくことが大切です。カルシウム、ビタミンDを含めた栄養摂取と適度な運動を心がけましょう。
血液検査
血液一般
白血球:炎症反応や、白血病などの血液疾患で変化します。
赤血球・血色素量・へマトクリット:貧血があるかどうかわかります。
MCV・MCH・MCHC:貧血の原因を推測する手がかりとなります。
血小板:減少すると出血が止まりにくくなります。
糖代謝
空腹時血糖:糖尿病の診断の手がかりとなります。
HbA1c:糖尿病の診断の手がかりとなります。HbA1cは過去1-2か月の血糖値を反映します。
肝機能・膵機能
総蛋白・アルブミン:栄養状態の指標になります。肝臓や腎臓の病気で低下することがあります。
T-Bil:総ビリルビン値のことです。ビリルビンは黄色い色素で、赤血球の中にあり、肝臓から胆汁に排泄されます。血液や肝臓、胆嚢の病気で上昇します。
AST・ALT:肝酵素で、脂肪肝、肝炎などの肝細胞の障害で上昇します。心筋や筋肉、血液などの障害でも上がることがあります。
LDH:乳酸脱水素酵素です。心筋、骨格筋、肝臓、筋肉、赤血球など広く含まれています。
γGTP:ガンマグルタミルトランスペプチダーゼという、たんぱく質を分解する酵素の一種です。肝・胆道の細胞に存在します。飲酒量が多いと上昇するため、肝機能の指標とされます。
ALP:アルカリフォスファターゼという酵素で、肝臓・胆道や骨に病気があると上昇します。
ChE:コリンエステラーゼは肝臓で作られる酵素の一つで、脂肪分解に関与しています。肝障害で低値、脂肪肝や肥満などで上昇します。
Amy:アミラーゼは膵臓や唾液から分泌される消化酵素で、異常があると上昇します。
脂質代謝
T-Cho:総コレステロールは血液中に含まれるコレステロールのことです。高いと動脈硬化を進める原因になります。コレステロールはホルモンや脂溶性ビタミンの原料にもなっており、低すぎても健康維持に障害が出ることがあります。
TG(中性脂肪):中性脂肪(トリグリセライド)は、肉や魚、油など食品中の脂質や体脂肪の成分です。その大部分は飽和脂肪酸と言われ、過剰になると動脈硬化の原因になります。
HDL-C:HDL(高比重リポタンパク)は、増えすぎたコレステロールを回収し、血管壁にたまったコレステロールを肝臓に戻す働きがあります。DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和脂肪酸は、HDLを下げずにLDLを減らす効果があります。
LDL-C:LDL(低比重リポタンパク)は、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ働きをしています。血液中のLDL-Cが増えすぎると、血管壁にたまり、活性酸素の影響で酸化して、動脈硬化に進行します。
尿酸・腎機能
UA(尿酸):尿酸はプリン体が分解されるときにできる産物です。産生が過剰または尿からの排泄が低下で体内に蓄積します。蓄積した尿酸は尿酸塩の結晶となって痛風や尿管結石を発症します。
BUN(尿素窒素):タンパクが分解されてできる尿素に含まれる窒素の量です。腎機能の指標になります。
クレアチニン:クレアチンリン酸という筋肉で使われたエネルギー源の分解物質です。尿から排泄されるため、腎機能の指標になります。筋肉の異常でも変化します。
Na・Cl・K:電解質は、ナトリウム、クロール、カリウムといったもので、体内の水分調整や、心筋や骨格筋の動きの制御など、からだの重要なバランスをとっています。
甲状腺
TSH:甲状腺刺激ホルモンは脳下垂体から産生されます。
FT3・FT4:甲状腺ホルモンはエネルギー活動に重要なホルモンで、上昇しても低下しても体調に影響が出ます。TSHと合わせて甲状腺機能異常の原因を推測します。
腫瘍マーカー
CEA:消化器系癌、肺癌、腎癌などの腺癌系で上昇します。但し、良性でも腎障害や、喫煙、肺気腫などで上昇することがあります。
CA19-9:膵癌、胆嚢癌、胆管癌などで高い陽性率があります。卵巣癌や子宮内膜症でも上がることがあります。
CA125:卵巣癌や卵巣腫瘍、子宮内膜症などの診断に利用されています。膵癌や肺癌などでも上昇することがあります。
CA15-3:乳癌の補助マーカーとして利用されています。
CYFRA21-1:肺癌の扁平上皮癌や腺癌で陽性率が高いです。また胃癌や卵巣癌でも上昇する場合があります。
ProGRP:肺癌の小細胞癌で上昇することがあります。腎機能低下などでも上昇することがあります。
AFP:肝細胞癌で上昇します。肝炎、肝硬変などでも上昇します。